皆さんは黒毛舌という病気をご存知でしょうか。字面を見るとインパクトが大きいですが、実際の症状も文字通りで、舌の表面が黒く着色します。「黒毛」というのは、舌の表面にある糸状乳頭と呼ばれる組織がまるで毛のように伸びることからつけられた名称です。ただ、肉眼では乳頭が毛のように伸長している状態は確認できません。ここでは、そんな黒毛舌の原因や対策法などについて詳しく解説します。
黒毛舌の原因とは
黒毛舌は、特定の薬剤を服用することが原因であることが多いです。具体的には、抗生物質や副腎皮質ステロイド薬などを継続的に服用することで、菌交代現象というものが口腔内で起こります。
菌交代現象によってカンジダ菌が繁殖する
例えば、抗生物質というのは細菌の繁殖を抑えたり、殺したりする作用がある薬剤ですよね。この薬剤が上手く機能することで、口腔内の細菌による悪影響を除去することができるのですが、ここで問題となるのが、抗生物質では排除できない真菌という病原体です。口腔内ではカンジダという真菌が生息しており、抗菌薬を使ったとしてもそれらの繁殖を抑えることはできないのです。
ただ、通常の口腔内細菌は排除できるため、結果的に真菌の繁殖が促進されることがあります。菌交代現象と呼んでいます。
毛のように見えるのはカンジダ菌が繁殖しているため
黒毛舌では、糸状乳頭が伸長しますが、これは舌の表面でカンジダ菌が増殖した結果です。そこに、食品などに含まれる着色性の物質が沈着して、舌が黒く見えるようになるのです。つまり、舌が黒くなる直接的な原因は、歯などが着色する仕組みと同じといえます。
免疫力が低下しても発症することがある
黒毛舌の発症原因で最も多いのは菌交代現象ですが、その他、免疫力が低下することでも発症することがあります。全身の免疫力が低下すると、当然のことながら口腔内の免疫力も下がりますので、カンジダ菌などの病原菌が増殖しやすくなるのです。
アルコール使用液体歯磨きは要注意
もしも普段からアルコール使用液体歯磨きを使用していて、黒毛舌を発症した場合は注意が必要です。液体歯磨きのアルコール成分によって、菌交代現象が起こっている可能性があります。また、唾液の分泌量が低下していても、カンジダ菌が繁殖しやすくなっていますので、黒毛舌の発症原因になり得ます。
黒毛舌の対策法
黒毛舌の対策法は、発症原因によって異なります。
抗生物質の投与をやめる
抗生物質が原因で菌交代現象が起こっている場合は、抗生物質の服用を止めなければ根本的な解決には至りません。ただ、抗生物質というのは、それなりの理由があって服用しているものですから、その服用を止めるには、処方している医師と相談する必要があります。
免疫力を正常に保つ
疲れやストレスなどで免疫力が低下し、黒毛舌を発症している場合は、まずは十分な睡眠および栄養をとり、免疫力の向上に努めましょう。免疫力が正常に戻れば、カンジダ菌の増殖も抑えられますので改善方向へと向かいます。
アルコール使用液体歯磨きの使用をやめる
アルコール使用液体歯磨きを使用して黒毛舌になっている場合は、その使用を控えるようにしましょう。また、唾液の分泌が低下している場合は、唾液腺や口腔内に何らかの異常がある可能性が考えられますので、まずは歯科医院を受診することをお勧めします。
口腔内を清潔に保つ
上述した対策法は、それぞれの発症原因に対して行うものですが、いずれにせよ口腔内を清潔に保つことは共通して最重要といえます。口腔衛生状態が悪いと、病原菌が繁殖しやすくなるため、黒毛舌だけでなく、様々な口腔疾患を発症しやすくなります。
まとめ
このように黒毛舌は、菌交代現象によって発症することが多い病気ですので、その対策法も通常の疾患とは少し異なります。そのため、黒毛舌の症状が現れたら、まず歯科医師に口腔内の状態を診てもらうことをお勧めします。黒毛舌の原因をしっかりと把握することで初めて、適切な対応をとることが可能な病気です。
ただ、通常のオーラルケアを行って口腔内を衛生に保っておくことは、全てのケースにおいて適切な対応といえます。

ハーツデンタルクリニック西白井駅前の院長。城西歯科大学(現 明海大学)卒業。仕事でうれしい時は思うような治療ができ、患者様に喜ばれ、お礼を言われたとき。
ハーツデンタルクリニック西白井駅前


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