歯周病は、歯ぐきに炎症が生じる病気ですが、重症化すると骨が溶けたり歯が抜けたりといった重たい症状が現れることもあります。また、その他の歯や周りの歯ぐきにも悪影響を及ぼすこともあります。上述の重症の症状の場合、適用されるのが抜歯です。ここでは、歯周病の抜歯基準や歯周病の重症度について説明します。
軽度の歯周病である「歯肉炎」
歯周病はまず「歯肉炎」という形から始まることがほとんどです。
歯肉炎とは、炎症が歯ぐきだけにとどまっている症状のことで、歯ぐきに現れる症状も比較的軽度といえます。
歯ぐきの腫れや痛み、出血などはこの歯肉炎で生じることがありますが、多くの場合で自覚できない程度と言えます。
ですから、歯肉炎の段階で抜歯するということはまずありません。
歯ぐき以外にも炎症が広がった歯周炎
歯肉炎が悪化すると、炎症は歯ぐきだけではなく歯を支えている歯槽骨にまで広がっていきます。
そうなると歯ぐきの腫れや痛みが強まるだけでなく、顎の骨にも痛みを感じるようになります。
また、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの間の溝も深くなり、歯周病の症状が中度や重度へと近づいたと言えます。
しかし、歯周病の治療では、こうした中度や重度のケースに対してすぐに抜歯を実施するということはあまりありません。
なぜなら、炎症が歯周組織全体に広がり、歯周ポケットが4mm以上になった場合、まず歯周外科処置というものが実施されるからです。
歯周外科処置とは
歯周外科処置では、歯ぐきをメスで切り開いて、歯の根っこの部分を目で見える状態にします。
そうすることで今まで取り除くことができなかった歯石などをスケーラーでごっそり除去することが可能となるのです。
これをフラップ手術といい、歯周病の中度や重度ではよく行われる処置といえます。
ですので、歯周外科処置は、抜歯をするわけではなく、あくまで歯周病を悪化させる原因を取り除く処置とお考え下さい。
歯周病の抜歯基準とは
歯周病の重症度を測る指標は、歯周ポケットの深さや歯の動揺度、それから歯槽骨がどれくらい溶けてしまっているかなど様々なものが存在しています。
ですので、歯周病における抜歯基準というのは明確な基準はありません。
歯周病で抜歯をするかどうかは、患者様の歯周組織の状態や、治療を担当する主治医の考え方によっても変わってきます。
例を挙げると、中度の歯周病であっても、この先症状の改善が見込めない場合は抜歯を実施することもあります。
別の例では、重度の歯周病であっても、治療の仕方や患者様のモチベーション等を勘案しながら、抜歯せずに地道に歯周病治療を進めていくこともあります。
明らかに抜歯が必要となるケース
どんなに優れた技術を持った歯科医師でも、歯周病で抜歯をせざるを得ないケースというものがあります。
それは歯の動揺度が激しく、今にも歯が抜けてしまいそうなケースです。
この状態だと、もうすでに歯を支えている歯槽骨もボロボロで、歯ぐきの吸収も著しいため、抜歯以外の選択肢は見つけるのは困難と言えます。
まとめ
歯周病における抜歯というのは、歯周病治療における最後の手段です。
歯科医師は最後の手段をとらないために、患者様に定期的なメインテナンスを勧めたり、スケーリングやルートプレーニングなどを丁寧に行ったりしているのです。
そうして歯周ポケットの深さを改善し、歯周組織の炎症を抑えるよう最大限の努力を行っています。
また、歯周病というのは中度や重度といった進行度に応じて、抜歯の基準が設けられているわけではありません。
例え重度の歯周病であっても、まだ抜歯をせずに済むケースも特に珍しくはないのです。そうしたことを理解しておくことで、歯周病治療へのモチベーションも高まることかと思います。
歯は一度抜いてしまうと、二度と元には戻りませんので、できるだけ残せるよう努力しましょう。
歯周病の専門医なら、歯を残すためにいろいろな治療の選択肢を提案してくれるはずですので、中度や重度の歯周病で抜歯になるのではないかと不安に感じられている方は、まず主治医に相談することをお勧めします。

ハーツデンタルクリニック西白井駅前の院長。城西歯科大学(現 明海大学)卒業。仕事でうれしい時は思うような治療ができ、患者様に喜ばれ、お礼を言われたとき。
ハーツデンタルクリニック西白井駅前


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