インプラント治療を検討中の方は、この装置が何年持つのか、耐用年数や寿命が気になることかと思います。ここではそうしたインプラントの寿命や長期安定性、長持ちさせるポイントなどを詳しく解説をします。
インプラントの寿命について
インプラントは、失われた歯を補う方法の中でも耐用年数が長く、平均寿命は10年~15年程度といわれています。ただし、これはあくまで平均的な目安であり、患者様ご自身の口腔内の状態や日々のセルフケア、定期的なメンテナンスをどの程度しっかり続けられるかによって、インプラントが何年持つかは大きく変わります。
インプラントは人工歯根と呼ばれるチタン製のスクリューを顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を装着する仕組みです。チタンは生体親和性が高く、骨と強固に結合するため、ブリッジや入れ歯と比べても耐用年数に優れている点が特徴です。ただし、どんなに素材として優れていても、口腔内の環境や噛み合わせの変化、歯茎の健康状態などに左右されることは避けられません。
患者様が適切なケアと定期的なチェックを受けることで、インプラントの寿命を20年以上維持することも決して不可能ではありません。一方で、歯周病(インプラント周囲炎)を発症してしまうと、せっかくのインプラントも早期に抜去が必要となる場合があります。インプラントを長く快適に使うためには、正しい知識と日頃のケアが何より大切です。
インプラントの長期安定性について
インプラントが多くの患者様に選ばれる理由の一つが、従来のブリッジや入れ歯と比べて長期安定性に優れている点です。ブリッジ治療では両隣の健康な歯を大きく削る必要がありますが、インプラントは単独で歯を補えるため、周囲の天然歯への負担を最小限に抑えられます。この点が、長期的に見て他の歯の寿命を延ばすことにもつながります。
また、入れ歯の場合は噛む力を歯茎や粘膜で支えるため、長年使用するうちに顎の骨が徐々に痩せてしまい、安定性が損なわれることがあります。一方、インプラントはチタン製の人工歯根が直接顎の骨に力を伝えるため、噛む力をしっかり支えることができ、骨が刺激され続けることで骨の吸収も抑制されます。
この「骨に力を伝え続ける」という特性が、インプラントの耐用年数を支える重要なポイントです。正しい位置と適切な角度で埋入され、噛み合わせが良好であれば、インプラントは長期にわたり安定した機能を発揮します。ただし、治療後のセルフケアを怠れば、インプラント周囲の歯茎に炎症が起こり、せっかくの長期安定性が損なわれてしまいます。治療の技術だけでなく、患者様自身の意識がインプラントの寿命を大きく左右することをぜひ知っておいてください。
インプラントが何年持つかはセルフケアに依存する
インプラント治療の成否は、手術の技術だけで決まるものではなく、治療後のセルフケアの良し悪しがインプラントの寿命を大きく左右します。ここでは、セルフケアのポイントと、歯科医院でのメンテナンスの重要性について詳しくお伝えします。
インプラントは虫歯にならないが「インプラント周囲炎」に注意
インプラント自体は人工物のため虫歯にはなりません。しかし、天然歯と同じように歯茎には炎症が起こる可能性があります。これが「インプラント周囲炎」です。インプラント周囲炎は進行すると歯茎の内部の骨が溶けてしまい、最悪の場合インプラントが抜けてしまうこともあります。インプラントの寿命や何年持つのかは、この周囲炎を防げるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。
毎日のセルフケアが寿命を決める
インプラントの寿命を延ばすには、毎日のブラッシングでプラーク(歯垢)を取り除き、歯茎を健康に保つことが欠かせません。特にインプラントの周囲はプラークが溜まりやすいため、歯と歯茎の境目を意識して磨くことが重要です。さらに歯ブラシだけでは届かない部分は、歯間ブラシやデンタルフロスを併用し、徹底した清掃を習慣づけましょう。
歯科医院でのメンテナンスは不可欠
セルフケアに加えて、歯科医院での定期的なメンテナンスはインプラントを長持ちさせるために欠かせません。ご自宅でのブラッシングではどうしても取りきれない歯石やプラークを、専門の器具で除去することで、インプラント周囲炎の発症リスクを大幅に減らせます。
また、噛み合わせの確認も重要です。インプラントに過剰な力がかかっていると、周囲の骨に負担がかかり、トラブルの原因となります。歯科医院では噛み合わせの微調整やインプラント体の状態確認を行い、必要に応じて早期に対処できます。
ハーツデンタルクリニック八千代中央駅前店にご相談ください。
セルフケアとプロケアの両輪で寿命を延ばす
「インプラントは何年持つか」という疑問に対しては、「セルフケアと歯科医院でのプロケアを両立させることが一番の答え」といえます。どちらかが欠けても、インプラントの長期安定性は損なわれてしまいます。毎日のケアと定期的なプロフェッショナルケア。この二つを習慣化することが、インプラントを10年、20年と長く快適に使う最大のポイントです。
インプラントを長持ちさせる5つのポイント
インプラントの寿命を延ばして長持ちさせるポイントは、以下の5つです。
1. 毎日の正しい歯みがき
インプラントの表面には天然歯と同様にプラーク(歯垢)が付着します。プラークは細菌の塊であり、放置すると歯茎に炎症を引き起こし、インプラント周囲炎の原因になります。そのため、歯みがきは1日2回以上を基本とし、できれば就寝前の丁寧なブラッシングを習慣にしましょう。
歯ブラシは毛先が柔らかめのものを選び、歯茎とインプラントの境目に毛先を45度の角度であて、小刻みに動かす「バス法」などの正しいブラッシング法が効果的です。強すぎる力は歯茎を傷つけるため、力加減にも注意が必要です。
2. デンタルフロス・歯間ブラシを活用する
インプラントの周囲は形状的にプラークが溜まりやすく、歯ブラシだけでは完全に取り除けないことがあります。歯と歯の間の清掃には、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう。
特にインプラントは天然歯のような歯根膜がないため、細菌感染が進むと防御力が弱く、一気に骨まで炎症が波及するリスクがあります。デンタルフロスで隙間の汚れを除去し、歯間ブラシでブリッジタイプのインプラントの下の汚れも落とすことが、歯茎の腫れや出血を防ぐ大きなポイントです。
3. 定期的な歯科検診を欠かさない
インプラントを長持ちさせるには、セルフケアだけでなく、歯科医院での定期検診が不可欠です。目安としては3ヵ月から半年に1回のペースでのプロフェッショナルケアをおすすめしています。
定期検診では、プラークコントロールの確認だけでなく、インプラントの埋入位置や噛み合わせの状態、歯茎の炎症の有無などを総合的にチェックします。必要に応じてレントゲン撮影を行い、骨の状態まで把握することで、問題があっても早期発見・早期対処が可能です。
4. 正しい噛み合わせを保つ
インプラントは天然歯と違い、噛む力を調整する歯根膜というクッション構造がありません。そのため、噛み合わせが乱れて一部のインプラントに強い力が集中すると、周囲の骨に過剰な負担がかかり、骨の吸収が進んでしまうことがあります。
定期検診では噛み合わせのバランスを確認し、必要に応じて上部構造の調整を行います。強く当たる箇所を適切に修正することで、インプラント体全体に力が均等にかかり、長期安定性が保たれます。
5. 生活習慣を見直し、全身の健康を意識する
喫煙はインプラントの大敵といわれています。タバコに含まれるニコチンは歯茎の血流を悪化させ、歯茎の免疫力を低下させるため、インプラント周囲炎のリスクを大きく高めます。また、糖尿病や高血圧といった生活習慣病も、歯茎の炎症を慢性化させやすい要因です。
インプラントを長く機能させるためには、禁煙はもちろん、規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠を心がけ、全身の健康状態を維持することが大切です。
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